スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:-- 】
スポンサー広告
出愛Ⅱ
今日は、添乗ですてきなご夫婦に出会った。

この記事、とても長いので、覚悟してください(笑)

そのご夫婦は、朝、横浜駅に二人、腕を組んで現れた。

「おはようございます!○○サンですね??」
とお声をかけると、
 ご主人様が、満面の笑みで、「そうです。えび○さん。おはようございます」
と、返してくださった。

 その笑顔を見ただけで、なんだか、気分が明るくなった。
 
奥さんのほうも、笑顔で「よろしくお願いします」と。

ほんとうに素敵な笑顔だったんです。

・・・なんとなく、ほんわかした空気が出てて、ほのぼのしてて、
すっごく「いぃご夫婦だなぁ。」って思った。

 バスに乗り込むときに、ご主人様が、「段高いよ、一段、二段、三段。」と奥さんに言っていた。

 「ん?」と思ったのだが、お席にご案内。

すると、ご主人様が、
「女房は、目が見えないんです。だからこうしてね、いつも付き添っているんですよ。」
と、ニコニコ。

私は。
驚いた。

お二人で現れたときには、まったく気付かなかった。

「そうなんですかぁ、一箇所、車の通る道を歩くときがありますから、そのときには十分ご注意くださいねぇ。」

 これくらいのことしか言えず。。

気の利いたことが言えない自分をもどかしく思っていると、

「大丈夫ですよ、一応添乗員さんには教えておかないと、と思いまして。」
とご主人様。
「私はね、目が見えなくなってから、自分のことができなくなっちゃったからねぇ。でもね、本当に今日は楽しみにして来たんですよー。」
と、奥様。

二人は、終始、笑顔なんです。

その後、何気ない話(旅行の話とか、私の添乗暦とか・・・)をして、私はそのご夫婦から離れ、自分の席についた。

まもなく、次のお客様が乗られる場所に到着。
次々とお客様が現れ、合計12名のお客様を向かえ、ツアーは開始。

今回のツアーは、伊豆に行って、イチゴ狩り、水仙鑑賞、アロエの花鑑賞、お買い物、というコースだった。

私は、お花の観賞が入ってるツアーで、実際に花が見ごろでないときには、
「もしお花が咲いてなかったら、みなさんの想像力で満開の○○を見てきてくださいね~♪」なんて案内する。
今回の水仙も、まだ4分咲きだったので、このようにご案内した。

その水仙鑑賞の場所に行ったとき、ご主人様が、
「添乗員さん」と声をかけてきた。
すると、奥さんが、
「ちょっと主人がね、具合が悪くなってしまったので、バスの中で待っていますね」
とおっしゃった。

ご主人が具合が悪くなったら、奥様もタイヘンだろうな・・・
いつも手を引いてくれているご主人様が具合が悪くなったら・・・

「もしバスに酔ったのであれば、外で座って待っていてはどうですか?」
と、外のベンチをすすめて、ご案内した。

そして、ほかのお客様を、水仙の群生地にご案内していたのだが、あのご夫婦をほうっておけなくなって、群生地が見えてきた頃に、
「では、このあたりで自由時間にさせていただきまーす!このままますぐお歩きくださいっ」
と言って、ご夫婦のところに戻った。

「ご迷惑おかけします」
と、奥さん。
奥さんは、まっすぐ私の方を見ているつもりなのだが、やっぱり、少しずれたところを見ている。
でも、まっすぐ、私を見ている。

「さっきね、バスの中で主人の手をにぎったんです。
そしたらね、ビッショリ濡れてたもんで。
具合でも悪いのかって聞いたら、バスに酔ったみたいだ、ってね。
長かったですもんねぇ・・・」

「添乗員さん、お昼食べてないんでしょう?
お弁当、召し上がってください。外にいれば具合もよくなると思いますから。」
 とご主人様がおっしゃった。

お言葉に甘えて、お弁当をいただいた。
お客様と同じ、おすしのお弁当。
あんまり豪華じゃなくて、種類も少ないし、正直、「いまいちだなぁ・・・」って感想だった。

早く食べて、ご夫婦のところに戻った。

すると、ベンチにはもういなくなっていた。

あたりを見回すと、具合がよくなったのか、二人で水仙のまわりを歩いていた。

その様子を見ていると、ご主人様が、
「添乗員さん、もう大丈夫です。ありがとうございました」
と、おっしゃった。

「まだまだお時間ありますから、ゆっくりしてくださいね」と言うと、

「添乗員さん」
と、奥さん。

「水仙がキレイなんでしょうねぇ・・・こんなにいい香りがして。
私はね、目が見えない分、ほかの人よりも想像力が働くんでしょうね。
本当にたくさんのお花を想像していますよ。
こうして外を散歩していると、本当に気持ちがいいものですねぇ・・・」
と、ニコニコ。

「さっき食べたイチゴも甘くておいしいし、お弁当のおすしもおいしいし、こんなお天気もよくて、本当に今日は楽しい一日ですよ」
と、ニコニコ。

幸せそうなお二人を見て、私は、以前見た、映画の「解夏」を思い出した。

解夏については、コチラ↓
http://www.takerutica.com/cinema/k/gege.html
http://www.motchy.net/vodafone_live/cinema/gege.htm


「解夏」の続きをみているような気分になった。

「解夏」は、ベーチェット病という病気に犯され、だんだんと目が見えなくなっていく主人公の、苦悩を描いた作品。
恋人とたくましいく生きていくのだが、やはり、目が見えなくなっていく恐怖におびえ、恋人に八つ当たりをしたりもする。

そんななか、あるお寺を訪れたときに、
「目が全く見えなくなったとき、それが、あなたの解夏です。」
と、老人に言われる。

「解夏」とは・・・?
行脚の修行の入りの日を「結夏」と言い、終わりの日を「解夏」と言うんだそう。
つまり、苦しみから逃れられるとき、ということ・・・。

失明という恐怖におびえている今が、一番つらいのであって、失明したら、その恐怖から逃れることになる。
ということだ。

この映画を見たとき、私は、よくわからなかった。

正直、あまり感動もしなければ、見てためになったなー、といった感想も、持たなかった。

でも、このご夫婦に出会って、この映画を思い返してみると・・・

「あぁ、こういうことなのか」って。

目が見えなくなっても、こんなに幸せそうに、生きているヒトがいる。

そして、その人と一緒に生きている、幸せそうな相手がいる。

 私は、このご夫婦が、どんな人生を歩んできたのか、全く知らない。
ただしっているのは、目が見えなくても、こんなにもニコニコしている、というコトだけ。

 あの映画は、ハッピーエンドだったのかな、って思った。
半分くらいしか理解できなかった映画だったが、このご夫婦に出会った今、もう一度見たい、と思えた。

 そのあと、ツアーは滞りなく進み、出発地に戻ってきた。

最後に、このご夫婦とお話をした。

奥さんは、「本当に今日は楽しかったですよ。ありがとう。最高の旅行でした。」
と言ってくださった。

「いえいえ、こちらこそありがとうございました」
私は、ことばにつまりながら・・・
「なんだか、お二人を見ていて、・・・なんといっていいか。
本当によかったです。感動しました」
とか、わけのわからないことを言っていたら、

奥さんが、
「添乗員さんは、まだお若いんでしょう?生きてるとね、なにがあるかわからないですよ。
つらい事もあるでしょう。
でも、それを乗り越えれば、続いていくんです。
そしたらね、今日みたいな楽しい日もあって。
だから、頑張ってくださいね」

そして、

「私に逢ったヒトは、みんな幸せになるわよ」

とおっしゃった。


感動した。

ほんとに、感動した。

目が見えないというだけで、周りからは、
「タイヘンだろうな」とか、「お気の毒」とか、「かわいそう」とか、
そう思われがちなのに、
その人が、「私に逢ったヒトは、みんな幸せなるわよ」って。

私には想像もしえなかったコトバが・・・。


バスを降りていったご夫婦が、見えなくなるまで、見送った。

「またお会いしましょう」心から思った。


こんな素敵な出逢いをくれた、添乗という仕事に、本当に感謝。
そして、この仕事を誇りにも思う。

添乗員をやっていると、出逢いも多いけど、その分、別れも多い。

そのことにくじけそうになって、本当に悩んだときもあった。
この仕事を続けていかれるのか・・・「辞めたい」とまで思ったこともあった。

でも、思ったのは、出逢いは、別れよりも意味を持つものだなってこと。

このご夫婦に出会って、私は、少しだけでも、成長できた気がする。
また、力をもらった。精神的に、強くなれたかな。

そして、幸せになれる気がした。

幸せにならなきゃいけない気がした。

将来、誰かと結婚して、あのご夫婦みたいに穏やかに、幸せそうに過ごしたいなー、と思う。


なんだか、文章にしてしまうと、価値のないものになりそうな気もしたけど、記録しておきたいな、と思ったので・・・。

では、これから「解夏」のDVDでも借りにいってきまーす♪
スポンサーサイト
【2006/01/11 23:33 】
添乗記 | コメント(3) | トラックバック(0)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。